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横溝正史『本陣殺人事件』

本陣殺人事件

今年は横溝正史生誕100年だそうで、角川文庫で既刊が大幅に増刷されて平積みになっているのが目に付いたので、これも縁だと思ってを合い言葉に手を出してみました。

実は横溝は初めてではありません。あれは小学校高学年くらいでしたか、実家の住み替えに伴って転校して、前の学校の図書館で追いかけていた江戸川乱歩のジュブナイル版『少年探偵団』シリーズを読むために区民図書館へ通っていた頃のことでした。いい加減読み切ってしまったので他のものがないか探していて、乱歩にジュブナイル版よりはるかに淫靡な「大人向け」があることを知りました。その隣に並んでいたのが横溝。やっぱり角川文庫だったかな。

で、名前とタイトルに聞き覚えがあったので(70年代には横溝ブームがあったといいますから、多分その辺りの影響でしょう)まず『犬神家の一族』を読んでみました。話の筋はおおかた忘れてしまいましたが、何が起こっているのか把握するのがものすごく辛かったという感じだけ残っています。

ま、言うなれば今回はリベンジになるわけですが…やっぱり何が起こっているのか把握するのが辛い(;_; )

分かりにくいわけでは決してないと思うんです。舞台はたいてい明治から昭和初期、または戦後あたりですが文体は割合現代風だし(仮名遣いの修正くらいは入っているかもですが)、トリックも面白いし、ドラマ性もある。でも、何故か読み進むのが/考えるのが面倒くさいという気分がずっとつきまとう。特に田舎の旧家が絡む事件だと登場人物がやたら多いし、出てくる奴が皆いけすかない上に思想的に全然理解できない思惑が錯綜しまくるし。実は最近秋田書店刊『サスペリア・ミステリー』でちょくちょく横溝作品がコミカライズされていてそれも読んでいるのですが、絵があっても結局何がどうなったやら分かってなかったりする。

…まぁ、つまるところ、ふうこには向いてない、この作家。