貫井徳郎『慟哭』
- 2002.10.22 Tuesday, 19:07
- [今日の読書]
さて、本作ではまず北村薫氏の手になる帯のアオリを。
題(タイトル)は『慟哭』 書き振りは《練達》 読み終えてみれば《仰天》
客観的な評価はおそらくこの言葉だけで十分です。デビュー作とはとても思えぬ筆致には「圧倒的」とか「重厚な」という表現が当てはまらないわけじゃないが、熟語にするとしたらやっぱり《練達》が一番はまるし、読み終えてみればまさに《仰天》の心持ちになります。「吃驚」もないことはないけど、それより文字どおり「天を仰ぐ」というか。それ以上は、もう説明すればする程野暮になるというのが実感です。あら筋の説明なんぞしたところで、読む上で何の助けにもなりません。後はご自分で確かめてくれというのみ。
とはいえそれだけじゃ何のアレもないので、ふうこからはひとつだけ。ただひたすら『慟哭』を象徴するシーンを目指して読んでほしい。泣けません。でも、実際に涙を流すよりずっと泣いた気がします。