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小野不由美『黒祠の島』

黒祠の島

『十二国記』の勢いもあって手を伸ばしてみました。なんか作者初の本格推理!らしいです。が…手に入れた時にご一緒していたお友達の評判はすこぶる悪い。

何が悪いの?うーん…面白くないの?いや、そんなことはないんだけど…帯に『1949年 獄門島/1987年 十角館の殺人/そして…』とかアオリが書いてあるのがね、しっくり来ないのよ ふーん。まぁいいか、ふうこ『獄門島』通して読んだことないし。

というわけで、さすがにあまり期待はしないで読んでみたのですが、ふつーに面白かったです。『十二国記』の時みたいに最初エンジンがかからなかったらどうしよぉー(しかも今回のはノベルスで350頁程度で短いし)とか思ったんですがそんなこともなかった。明治政府による祭政一致政策によって黒祠=邪宗のレッテルを貼られた神と、その神を代々守る家が権勢をふるう離島の雰囲気にはなかなか楽しませてもらいました。

ただ、本当に普通の、当世風の本格推理です。もっと言うと最近の作品としては凡百の部類に入る。恐怖も、謎も、人物造形も、雰囲気はあるけど本当に雰囲気だけというか。新本格あたりがお好きな方にはまぁ読んでみればって感じでお勧めできるかもしれないけれど、あの横溝正史と並び称する程のものかというとちょっとどうだろうって感じです。

ま、今まで読んでみたところからして、小野不由美という人はテーマの割に肩に力の入ってない作風であるようなので、今回のところは分からんちんの編集に分かってないアオリをつけられたのが運の尽きってところでしょうか。

では、次はやっぱし『獄門島』かなぁ…