ふうこのばけつ Archives

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ふうこの海外つまみ食い道中(10):最後の災難

前回までのあらすじ
なんだかんだとパリを満喫したふうこ達、今日はいよいよ帰国日。

ついに最終日の朝です。チェックアウトも何とか自力で済ませ、ロンドンと違って迎えの車が遅れることもなく、無事に滑り出しました。ふうこ達がこれからの旅程を把握していないという点を除いて。迎えに来た現地係員が、これからシャルル=ド・ゴール空港へ向かいますと行ったのを聞いて初めてあ、空路で行くんだ…と思うふうこ。当たり前、3時間かけてウォータールーに行っている場合ではありません。

シャルル=ド・ゴール空港に着くと、まずは税金の還付手続。相方はロンドンでのVAT還付、ふうこはパリでの消費税還付があったので列に並びます。窓口は2つあったのですが、一人がやたら機嫌悪そう…と、その係員、突然窓口を離れてこっちに向かってくると、無言で還付手続の列の先頭からすこし離れたところにあるマークのてっぺんにある札をこっちに向け、そのまますたすたと戻っていきました。札にはこう書いてありました。

Wait Here Please

…。そして、お約束通りふうこの分がその係員のところだったので、イヤな予感がしつつ前に行ったら彼は手許で何かをしている風で待てとも出せとも言わず、隣の窓口がすぐ空いたのでそっちで手続きしてもらいました。…幸いなことに、こういう態度の人に出くわしたのは全旅程でここだけでした。

ま、とりあえず手続は終わったので、今度はチェックインの列に並びます。乗るのは British Midland 航空 BD174 便、ヒースロー行きのエアバスです。一番少なそうな真ん中の列に並んで、10分…20分…。左右の同じ航空会社の列はとっくに人が入れ替わっているのに、こっちはちっとも動きません。カウンターに座っている係員は何度も席を立って上司らしき人を呼びにいきます。新人な上にコンピュータの調子がおかしいようです。ああああ。

やっとこさチェックインが終わり、ここまでつき合ってくれた HIS の現地添乗員ともお別れ。丁重にお礼を述べて荷物検査を通りぬけ、エスカレーターで搭乗口に向かいます。シャルル=ド・ゴール空港は建物が円形な上に真ん中が吹き抜けになっていて、向かい側に渡るためには吹き抜けの上に架けられたチューブのような通路を行くようになっています。その姿は1970年代に描かれた21世紀の未来像そのものです。…フランス人の美的センスってよく分からないなー…。

結局搭乗口に着いてから 30 分ほど待たされ、シャルル=ド・ゴール空港離陸は現地時間 11:30。随分押しているけど、相方が旅程表を見ながらフランスからイギリスまで15分で着くんだ、すごいねーと話しかけてきます。ああ、じゃあもうすぐ着くね…って、そんなわきゃない。その到着時間はイギリスの現地時間だよ。飛行時間は1時間15分ってことだよ!(夏なので英仏間の時差は1時間。)乗換予定の Virgin Atlantic 航空 VS900 便は現地時間 13:00 発。…。ヒースローの免税店で買い物したいなぁとか言ってたけど、全然そんな場合じゃなくなっていることに今頃気づくふうこ。

ひとり青くなるふうこを乗せたエアバスのヒースロー到着が現地時間で 12:30 。まだチェックインしていないのだから、通常の国際便ではとっくに締切の時間。トランジットはやったことないのでどうだろうか…。ふうこ買い物したいんじゃなかったっけ?呑気な優しいことを言う相方の尻っぺたを叩いてトランジット用のチェックインカウンターへ。カウンターの手前に御用聞きのイギリス紳士が座っていたのでチケットを見せると、Run, run! と奥の方を指差しながら陸上の腕振りのような仕草を見せます。やっぱり〜〜(;_;)

ぼつぼつと人が歩いている廊下をばたばた走るふうこ達。いやでも通行人の目を引きます。見覚えのあるムービングウォークのある道が見えてきました。ああーここ2マイルあるんだっけー…。半ば絶望的になりながら、何とか搭乗口へ到着。一応まだ離陸はしていない模様。

搭乗口ではグランドパーサーたちがにこやかに迎えてくれたものの、チケットにチェックインの跡がないのでちょっとした騒ぎに。チケットの他にパスポートや荷物の預かり証を次々と要求され、チーフらしき女性がどこかに電話しています。不安を抱えつつそれを見守るふうこ達。が、どうやら話がついたらしく、手書きで席をあてがってくれました。ああ、ありがとう御用聞きのおっちゃん。ついでに荷物もちゃんとこの便に乗ってるよと教えてくれて、やれやれ…と思いきや、ふうこのチケットとパスポートを見比べていた若い係員がチーフらしき人に何か言っています。…あ、パスポートの名前とチケットの表記が違うって言ってるな。ふうこは出発の前年にパスポートを更新したばかりだったので、この度の戸籍移動に伴って記載事項の訂正だけしたんですが、この場合いつも見せる写真の部分の表記は昔のままになります。よーく見ると次のページの日本国民である本旅券の所持人を云々という外務大臣の署名の下に See Page XX と訂正事項記載ページへの誘導表記があるのだけど、何しろパスポートのノド元もいいところに書いてあるんで見落として当然。すかさず横入りしてそのページを見せ、大手を振って搭乗。ああー何だ何だ、最後の最後で…

さて、長々と語って参りましたが、以上がふうこと相方のヨーロッパつまみ食いの旅の全貌でございました。諸般の事情で大変お待たせしてしまったことをお詫び申し上げるとともに、連載中の皆様の暖かい励ましに心からの感謝を表明して、筆を置かせて頂きます。どうもありがとうございました。