ふうこの海外つまみ食い道中(6):越境
- 2003.12.31 Wednesday, 02:17
- [今日の与太]
パリへの移動日、前日より少しぎりぎりで目が覚めたふうこ達。朝食をとり、身支度をしてからちょっと外に出てみます。フロントで郵便を出そうとしたら切手を扱っていない
というので、最寄りの郵便局へ向かうことにしたのです。が…あれ? 見つからない。よーく探してみると、地図で郵便局に該当する位置にあった文房具店の奥が郵便局になっていました。窓口は3つあって、それぞれお世辞にも愛想がいいとはいえない雰囲気の女性が座っています。ひとつの窓口に行ってはがきを見せると55ペンスを要求され、BY AIR MAILとだけ書かれた青いシールを渡されました。え? え? これ貼ればいいの? 切手は? どこに投函するの? ときょろきょろしていると Over there.
と一言。…受付の向かいにある壁の高いところにぽつっと開いた穴がポストのようです。しっかし、55 ペンスって、航空便にしちゃ安くないか、大丈夫かよと思ったけど、全然大丈夫じゃなかったのは別の話。
さて、8時30分。荷物を持ってロビーに下り、迎えを待つ。…待つ。…待つ。…来ないんですけど… と、フロントから電話口に呼ばれる。現地人が出ると思ってびびった相方に促され、ふうこが電話に出ると電話の向こうは HIS ロンドン支店の日本人スタッフでした。
スタッフすみません、今ホテルを回っているところなんですが、前の送迎先でトラブルがあって遅れてるんですよ…
乗車時間には問題ないとのことなので、あまり焦らず待ち続ける。9時頃、やっと迎えが到着。トラブルとは、フロントがセイフティボックスの鍵をなくした
とか言い出して、貴重品がなかなか出てこなかったということらしい。それじゃ不用心ボックスじゃないか、コラ。
迎えはうちが最後で、車は一路ウォータールー駅へ。さすがに時間の余裕はなかったので、駅に着くとせかせかとここに並んで下さい
と入り口の行列に並ばされます。その行列は、X線での荷物検査待ち。…そりゃそうか、国境を越えるわけだし。勿論送迎の人はここから先に進めないので、簡単に乗車手順を説明した後、さっさと立ち去ってしまいました。我々は自力でパスポートのチェックを受けて、エスカレーターでユーロスターのホームに出ます。プラットフォームの端っこまで歩かされて、やっと乗車です。
ユーロスターは割合最近に開通したし、列車の顔も日本の新幹線に似ているので、車内のイメージも新幹線のそれがあったのですが、実際乗ってみると微妙にイメージ修正を要求されます。ふうこたちの席が2等だったせいかもしれませんが、どっちかと言えばただの長距離特急車両っぽく、左右に2列ずつシートが設置されていて前の席との間隔も航空機のエコノミー席くらいです。車内放送は英語と仏語が順番に同じ内容で放送されている…模様です。てか、仏語なんか大学の第2外国語ですら取ってない(2人とも独語であった)ので、最後にメルシィ
と言ってることくらいしか…
そうこうしている間に列車が出発しました。街を歩くとあんなにきれいだった街並も、線路の方から見るとどれも落書きだらけで薄汚れています。どうも見えないところには頓着しない国民性のようです。何となく荒んだ気分になって、黙って目の前を流れていく景色を見送ります。
海岸線が近くなってくるに従って、所狭しと建てられた石造りの建物の代わりに緑の丘と黒い壁の木造建築が目に付くようになりました。ずっとロンドンにいたので、イギリスの田舎の景色を見るのは初めてです。広々として緑豊かで、農業国としてのイギリスの横顔を垣間みる気がします。真夏の日差しは木々の緑をつやつやと彩り、車窓に眩しく照りかえしています。美しいコントラストです。さらば、ロンドン。さらば、イギリス。今度来ることがあったら、こんなところも見てみたいな…車窓をアンニュイな視線で見つめ、話しかけてもいつになく言葉少なに答えるふうこに、相方がいぶかしげに問いかけます。
相方ふうこ、どしたの? もしかしてびびってる?
むぎゅ。そ、そんなことないって…
…いや。正直すまんかった。はっきり言って、ふうこにとってパリはイギリス以上に得体が知れない。それよりも、言葉が通じない国に旅行に出かけるということが自分にとってこれほどプレッシャーになるとは思ってなかった。出かける前散々バカにしてごめんよ相方。
と、そんな気弱な日本人2名を含む賑やかな乗客(ホントうるさいあいつら、でけぇ声でよく喋るし、携帯が何度も鳴ってるのにマナーモードに切り替える気配がないし)を乗せた列車は、ドーバー海峡を越えてヨーロッパ大陸へ入っていきます。
そんで、これはどうも…年明けに続くな。さすがにこれ終わらないと更新停止できないし…ホントに、何するにしても泥縄というかケツかっちんというか…