機内強制カウチポテトすぺさる(笑)・読書編
- 2003.07.19 Saturday, 14:37
- [今日の読書]
えー、先日ふうこはロンドン・パリ6日間というえらいかつかつなスケジュールでヨーロッパ旅行初体験をこなしてきたわけなんですが。
何しろ、東京−ロンドン間 ジェット機で約12時間。
暇で暇で暇で暇でどうしようもないので、本を持ち込みしてみました。なかなかさくさくと読めましたよ、ええ。今回はその辺のひとくち感想を。ちなみに書影は全て文庫版。実際に読んだのがそれなので。
- 鮎川哲也『サムソンの犯罪』
私立探偵の「私」が案件につまづくたびに顔を出すバーのバーテンが、「私」の話を聞きながら静かに、しかし鮮やかに事件解決の糸口を見つけ出す。所謂安楽椅子探偵ものですな。
ふうこにとって鮎川哲也というと鬼貫警部に代表される重箱の隅を突くような真実の追究なので、こんなシリーズがあるとは驚きだったんですが…やっぱり個人的には「まぁまぁ」でした。
- 東野圭吾『名探偵の掟』
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ミステリといえばミステリなんですが、作中人物が所謂「推理小説」における定番設定を自らおちょくりながらも忠実に再現しているという、「本格ミステリ」というジャンル全体に対するパスティーシュ的なお話。別にミステリ自体に興味なくても、火サスや土ワイに言いたいことがいっぱいある方なんか、結構楽しめるんじゃないでしょうか。
で、コレ本編は面白かったが、解説がうるさい。曰く本作は
作者が示してくれる解決をただぼんやりと口を開けて受け身で待つ読者への、痛烈な皮肉
を含むらしいが、ふうこには「受け身の読者」の何が悪いかよく分かりません。むしろ作品の読み方をこうだ
と解説されるほど野暮な話もあるまい。ボケの説明が必要なコメディアンじゃあるまいし、読みたいように読ませろってんだ。ついでに言うと、同著者の『どちらかが彼女を殺した』の文庫版解説(袋とじ)も余計。…ま、どれもあまり著者本人に責任のある話じゃないですが、少なくとも文壇が氏の作品について常に
読者への挑戦
があると捉えている限りは直木賞無理でしょうね。直木賞って、そういう技巧的なのキライだよね… - 貫井徳郎『プリズム』
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小学校の女性教諭の殴殺事件を巡って、関係者たちが織りなす万華鏡のような心模様を描く中編。疑い、疑われる立場がくるくると入れ替わって疑念が螺旋状に繋がっていくさまは主題を分かりやすく映し出していて美しいが、これもまた「解答」を追い求めない話で。
飛行機の中の読書はやっぱし単純に解答が出てカタルシス!( ̄^ ̄ ) じーん… というのを期待したいので、まぁ別な機会に読めたらよかったなと思いました。…オチも「そりゃ多分ないなぁ」って感じだった、実は。
- 二階堂黎人『クロへの長い道』
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ハードボイルド幼稚園児、シンちゃんこと渋柿信介の活躍を描く「ボクちゃん探偵シリーズ」短編集。殆ど秋田書店刊の月刊誌『サスペリア・ミステリー』でコミック化しているのを既読なので、謎解き云々の楽しみはそんなになかったんですが、逆にコミック化する際のプロットの練られ方みたいなものが垣間見えて面白かった。もちろんシンちゃん萌え〜はデフォルトで。
ところで、解説の大地洋子氏が解説文とともに4コマ漫画を寄せていまして、曰く
いつもクールな二階堂さんが
シンちゃんシリーズ執筆のために『テレ○マガジン』や『たのしい○稚園』をチェックされてるのか?!…と思うと
とっても愛らしい
というのですが。違うと思うな〜。ご本人がクールかどうかについては否定する材料もありませんが、『サスペリア・ミステリー』で「二階堂黎人が選ぶリバイバル・ミステリー」なんて不定期連載を持っていて、その題材の殆どが漫画やアニメだったりする人ですよ? 巻き毛くるんくるんのお嬢探偵が超絶推理によって事件を解決するシリーズを持ってるような人ですよ? 単に放映を見てんだと思います。それも欠かさずに。