恩田陸の話
- 2001.05.05 Saturday, 00:00
- [今日の読書]
そもそもきっかけは、閑を持て余した時に手に取ったミステリアンソロジーに氏の短編が載っていたことでした。そのお話は定年退職した元裁判官が、ふとしたきっかけで散歩仲間になった比較的若い男が出した「ちょっとした謎」を解いていくという話でしたが、小品ながら江戸川乱歩『二銭銅貨』のような古き良き謎の香り
に包まれたすてきな作品だったので、ちょっと追いかけてみることにしたのでした。後に分かったことですが、その作品は『象と耳鳴り』所収の『給水塔』でした。
で、追いかけているうちにいろんなことが分かってきました。名前からは分からなかったが女性であるということとか、とりあえず初めて読んだ話のようなミステリはあまりなく、どちらかと言えばホラーとかファンタジーに分類されるものが得意分野であることとか。まぁ細かい経歴などはよそ様のサイトを見て頂いた方がよいでしょう(酷)
さて、ふうこは基本的にホラー嫌い・ファンタジー敬遠派なんですが、なぜ氏の作品が大丈夫なのかといいますと、氏の作品がホラーと言ってもスティーブン・キングみたいに「あからさまに怖い映像」の浮かぶものではなく、ファンタジーと言っても妖精さんやら魔法使いやらが出てくるドリーミィなものでもないからです。例えて言うなら、日常生活を透明な視線で描きつつ、その中にすっと忍び込む不思議や恐怖を浮かび上がらせるような感じ。まぁ作品によってはその「日常生活」ってやつが微妙に現実離れしてることもあるんですが…。ともかく、今ではふうこ的に雑誌連載までの追従を義務づける作家さんであります。
ちなみにご本人、やっぱりというか何というか、女性作家としてはかなりさっぱり系。唯川恵氏や小池真理子氏などが苦手なふうこにはまたツボ。さらに一条ゆかり氏や岩井志麻子氏みたいな男ハンター系(笑)でないのもツボ。
酒豪でもあるらしく、雑誌『週刊小説』の「女性作家とお酒」とかなんとかのエッセイ特集(いい加減ですみませんが、ポインタ見つからない(;_;))に寄稿したものが、ひたすら酒のアテの話しかなかったのには惚れました(笑)いっぺんお酒ご一緒したいもんです。まじでまじで。