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劇団四季『マンマ・ミーア!』

今日のエンタメは、劇団四季の新劇場電通四季劇場『海』のこけら落とし公演。70年代の人気ポップバンド ABBA のヒット曲をフィーチャーしたミュージカルで、ロンドンでは1999年から開幕してロングラン中だそうです。

舞台はギリシアの小さな島。女手一つでホテルを切り盛りし、娘を育て上げたドナ。しかし娘ソフィは結婚するにあたって父親にバージンロードをエスコートしてもらいたいと、母の日記を盗み読みして実父と思われる男性3人に招待状を出す。父なら会えば一目で分かると高をくくっていたソフィだがそうはいかず、さらに3人の男たちは事情を知るといずれも自分が父親だと考えてしまう。果たして結婚式の日にソフィをエスコートするのは誰なのか…

相方の申すに、タレントのタモリはミュージカルは全然理解できないと公言してはばからないそうで。何となれば、台詞を言うべきところで歌って踊るのが。…激しく同意。というわけで、ふうこは小学生の時に区民文化センター(笑)で親と子のミュージカルとか何とかいう企画で上演されたものを見て以来、人生で2回目のミュージカル観劇です。

一番の心配事はつまり最後までしらけずに見られるかだったわけですが、やはり一流は一流。それぞれの事情や思いから独身を続けるドナとその旧友2人、3人の父親候補。反して結婚に夢を持つソフィ…愛と結婚についてもの思う登場人物の心のひだが、ちゃんと歌と踊りから伝わってきました。

そして、一分の隙もなく計算されたセット。ギリシアの小島という舞台のあらゆる場面に対応する壁の大道具。真ん中には流れる河のような形のせりあがり。それは long and winding road 。ラストシーン、星一つない夜空にポッカリと浮かぶ大きな満月、スモークに見えかくれする道を手を繋ぎ歩いて行くソフィと結婚相手の姿には素直に感動しました。

映画のようと思ったけれど、これが映画のシーンならここまで感動しなかっただろうとも思える。今回だけは何故多くの人が舞台に惹かれていくのかが分かった気がしました。…いや、何をもって良しとするかは未だに分かりませんが(-_-;

理屈はともかく、舞台芸術に於ける「演出」の力、その重要性をまざまざと見た1編でした。

劇団四季『マンマ・ミーア!』(2003年3月1日 ソワレ)
  • 2002年12月1日〜2004年11月11日
  • 電通四季劇場『海』