村上たかし/村上佳代『くう・ねる・そだつ』
- 2003.05.12 Monday, 13:07
- [今日の読書]
この村上家、夫は『ナマケモノが見てた』『ぱじ』等で知られるギャグ漫画家、妻はエッセイストなのですが、嫁の佳代さんというのが、5年間の幼稚園勤務を経て村上氏と結婚、あっちゅーまに 32kg の脂肪を貯えて肝っ玉母ちゃん風の風貌を作り上げ、紆余曲折の末長女を出産した後、大学(神戸大学発達科学部)に入学/卒業し、現在は専門学校の講師の傍ら高齢者サークルを主宰するという、素晴らしいを通り越してうとましくなるような傑物なのです。ふうこは別な漫画で二人の生活を綴ったものを読んでいたのですが、ちょっとあり得ないような阿呆っぷりとおしどりっぷりには随分楽しませてもらいました。
で、今回この本を手に取ったのは、帯に載っていた内容がまた『紙おむつ書道』とか阿呆な内容だったので、またその愉快な村上家の日常が楽しめるものと思ったからなのですが…
これが、えらい重い。
家族愛が薄い家庭に育ったという村上氏はともかく、幼稚園の先生なんぞをして「発達科学部」なんぞを卒業して、お年寄りのサークルやってるようなひとが、自分たちが父母となることについてモラトリアムな状態に陥っていたとはさすがに想像の埒外だ。しかもその悩み方が、30代に手が届く年齢で嫁に行ったばかりのふうこの胸に笑えないほど響くのである。そ、そんなタイムリーなテーマに手を出すつもりじゃなかったのに… ま、でも所詮(酷っ)村上家なので、笑いどころは外してないわけですが。
しっかし、ここまでマジもんで「愛と笑いに満ちた子育て」が展開されてていいものか。愛満ち過ぎてるし、笑いも満ち過ぎ。